桜の季節


木々や草花の芽吹きがそこかしこで感じられる季節が到来しました。冬の寒風にじっと耐え、華やぐ時を待ち焦がれていた桜のような心持ちです。

この時期は進学、就職、転勤等のため、慣れ親しんだ学校や職場、また苦楽を共にした家族から離れ、新たな環境での生活が始まる方も多くいらっしゃるでしょう。かく言う我が愚息も進学によって親元を離れ、今週末から東京暮らしを始めます。

卒業式の日、彼は私たち両親宛に手紙をしたためてくれました。そこには反抗的であったことへの詫びと18年間への感謝、選択した進路への決意が綴られていました。親として子の巣立ちは喜ばしいことです。ただ、あと数日を残して同じ屋根の下で共に日々の生活を送ることは生涯ないであろうと思うと、やはり寂しさが募ります。

「早く子離れしないと大変だよ」と彼は言います。親の気持ちをよそに一人暮らしという未知の経験と希望した分野で学べることへの期待に胸を大きく膨らませているようです。

幾多の別離と新たな出会いを重ねながら人生の歩を進め、人は人として少しづつ磨かれていきます。将来夢を実現せんと決意した息子が、良き出会いに恵まれることを願いエールを送り、仕送りも励むことと致しましょう。

富士北麓地域も間もなく満開の桜が街を彩ります。新たな道を歩み始めようとしているすべての人々の前途に幸多からんことを切に願います。
正晴
息子と桜